プログラミングにおいて「名前をつける作業」は、ロジックを考えるのと同じくらい、あるいはそれ以上に開発者の頭を悩ませる工程です。
なぜなら名前ひとつでその変数や関数が「何をして、何を返すのか」を他のエンジニア(あるいは未来の自分)に正確に伝える必要があるからです。
しかし、英語を母国語としない日本のエンジニアにとって、微細なニュアンスの違いを辞書なしで使い分けるのは至難の業です。
とりあえずデータを取るから全部 get にする、変更するからとりあえず change にするといった雑なネイミングをしてしまうと、後から合流したメンバーがコードの意図を誤読し、バグの温床になります。
この記事では、プログラミングの現場で頻繁に登場する「似ているけれど役割が全く違う英単語」を体系的にまとめました。
これを手元に置いておくことで、命名に迷う時間を劇的に減らし、誰が見ても意図が透けて見える美しいコードを書けるようになります。
「取得する」系の使い分け(Get / Fetch / Find / etc…)
データを取ってくる関数を作る際、もっとも乱用されがちなのが get ですが、どこから、どのようにデータを取ってくるかによって、現場では明確に単語を使い分けます。
ここを間違えるとパフォーマンスの問題を引き起こす可能性があるのです。
| 単語 | プログラミングにおけるニュアンス | 使用例 |
|---|---|---|
| get | すでにそこにある(メモリ上やクラス内にある)データを、コストをかけずにサッと取得する。 | getUserName() |
| fetch | 外部(APIやデータベース、ネットワーク越し)から、時間とコストをかけて取ってくる。(非同期処理が多い) | fetchUserData() |
| find | 配列やリストの中から、特定の条件に合致するものを「探し出す」。見つからない場合はnullや空を返す。 | findUserById(id) |
| extract | 大きなデータや文字列の中から、必要な部分だけを「抽出(抜き出し)」する。 | extractEmail(text) |
安易に getToAPI() のような命名をしてしまうと、呼び出し側は「一瞬で値が返ってくる軽い処理」だと勘違いし、画面がフリーズしてしまう原因になります。外部通信が走るなら fetch を使うのが鉄則です。
「変更する」系の使い分け(Change / Update / Modify / etc…)
状態や値を変更する際の単語選びも、プロパティの何をどう変えるかによって厳格に分かれます。
| 単語 | プログラミングにおけるニュアンス | 使用例 |
|---|---|---|
| change | AからBへ、全く別のものに「切り替える」。中身の修正ではなく、対象そのものを変えるイメージ。 | changePassword() |
| update | 古い状態から新しい状態へ「更新する」。データの一部を最新のものに書き換える際によく使う。 | updateProfile() |
| modify | 既存の仕様や振舞いに対して、部分的な「加減・修正・微調整」を加える。 | modifyConfig() |
| toggle | ONとOFF(TrueとFalse)の状態を「反転させる」。クリックで開閉するメニューなどに使う。 | toggleMenu() |
「作成する」系の使い分け(Create / Make / Generate / Build / etc…)
何かを新しく生み出す関数の命名も、その「重さ」や「過程」によって使い分けが必要です。
| 単語 | プログラミングにおけるニュアンス | 使用例 |
|---|---|---|
| create | ゼロから新しいデータやオブジェクトを「新規作成する」。データベースへのインサート等でよく使う。 | createAccount() |
| generate | あるルールや元データに基づいて、自動的に何かを「生成する」。推測できないものを作るイメージ。 | generateToken() |
| build | 複数のパーツや要素を組み立てて、ひとつのシステムや構造物を「構築する」。 | buildQuery() |
boolean型(真偽値)を返す変数の命名規則
変数が true か false の2択しか持たない場合、is や has から結ぶのが世界的なお約束(ベストプラクティス)です。ここを外すと直感的に読めないコードになります。
is + 状態(〜であるか?)
isValid(有効か), isVisible(見えているか), isEmpty(空か)
has + 名詞(〜を持っているか?)
hasError(エラーがあるか), hasChildren(子要素があるか)
can + 動詞(〜できるか?)
canEdit(編集権限があるか), canDelete(削除できるか)
should + 動詞(〜すべきか?)
shouldUpdate(更新処理を走らせるべきか)
たとえば表示状態を管理する変数を display_status とするよりも、isVisible とする方が、if文に入れたときに if (isVisible) となり、「もし見えていれば」と英語の自然な文脈でスッと頭に入ってきます。
美しいコードは「美しい英語」から生まれる

プログラミングの学習初期は、動けば何でもいいと考えがちです。しかし、チーム開発において「命名の汚さ」は立派な技術的負債となります。
この記事で紹介した単語のニュアンスは、実はIT特有の特殊なものではなく、英語本来が持つコアイメージそのものです。つまり、グローバルな開発現場で通用するクリーンなコードを書くためには、表面的なプログラミングの文法だけでなく、「英語そのもののニュアンスを掴む力」が絶対に欠かせません。
日本語の翻訳を通さず、こういった英単語の本来の温度感やニュアンスを直接感じ取れるようになれば、あなたのコードは劇的に洗練され、海外製ドキュメントの理解スピードも跳ね上がります。
もしあなたが「翻訳ツール頼りの英語」から卒業し、エンジニアとしての基礎的な英語力(語彙力・読解力・そしてコミュニケーション力)を本気で底上げしたいと考えているなら、一度専門の環境で学ぶのが一番の近道です。
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